今日の診療
治療指針

オスグッド-シュラッター病
Osgood-Schlatter disease
川口航平
(東京大学・整形外科学)

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治療のポイント

・障害発生早期に診断,治療介入することで症状悪化を防ぎ,ossicleを形成する終末期に至らないようにすることが重要である.

・超音波診断装置を併用して検診・診断することで,より詳細に所見・病態が見え,予防法や治療法に生かせるようになった.

◆病態と診断

A病態と疫学

・オスグッド-シュラッター病は成長期の活動性の高い子どもの脛骨粗面に発生する骨端症で,膝蓋腱の反復する牽引力によって二次骨化中心に炎症や剥離が起こる,overuseに起因したスポーツ障害である.

・成長期のスポーツ選手に多く,約30%は両側性に発症する.10~15歳の男子の運動選手に好発する.

・脛骨粗面の成長段階はcartilaginous stage,apophyseal stage,epiphyseal stage,bony stageに分けられる.オスグッド-シュラッター病はapophyseal stageおよびepiphyseal stageに発症しやすい.

B診断

1.理学所見

脛骨粗面部の隆起と疼痛圧痛・腫脹・熱感が主な症状である.

・はじめは脛骨粗面部の圧痛を生じ,悪化すると同部位に運動時の疼痛を自覚し,その後は正座時,立ち上がり時など日常生活でも疼痛を生じる.また,抵抗下での膝関節伸展動作で疼痛が誘発される.

・下肢筋の柔軟性が低下していることが多く,大腿四頭筋,ハムストリングを中心として下肢筋のタイトネスは必ず確認する.

2.画像所見

・単純X線像を用いて脛骨粗面の成長段階を確認するとともに,脛骨粗面骨化核の不整,隆起,分離,完全に遊離した小骨片であるossicleの有無などの評価を行う.

・超音波診断装置でも同様の評価を行うとともに,ドプラモードでは,膝蓋腱周囲,膝蓋下脂肪体内や裂離部に血流シグナルの増加の有無を確認する.

・MRIは膝蓋腱実質部の変性や骨内信号変化を評価する際に有用で

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