◆病態と診断

A病態

・膝関節の内外側に存在する半月板は三日月状の線維軟骨組織であり，関節の適合性を高め，荷重伝達・分散などの機能をもつ．

・血流に乏しい組織であり，いったん損傷すると自然治癒することが困難で，変形性膝関節症（膝OA：osteoarthritis of the knee）の誘因となる．

・半月板の受傷機転や受傷形態は，年齢や病態によって異なる．外傷性の半月板単独損傷や膝靭帯損傷に伴う損傷は，活動性が高い青～壮年期に多い．若年者に生じる半月板損傷は，外側円板状半月に伴うものが多い．中高年者では膝OAなど退行変性に伴う変性断裂が多い．

・半月板を損傷すると，歩行時の方向転換時などに痛みや引っかかり感が生じ，時に水腫を伴う．損傷した半月板が嵌頓すると可動域制限が生じることがある．

・診断には関節裂隙の圧痛を確認すること，また下腿を回旋し半月板にストレスを加える疼痛誘発テスト（McMurrayテスト，Apleyテストなど）が有用である．

・画像診断の第1選択は単純X線であるが，半月板損傷の確定診断にはMRIが必須である．

　半月板損傷は，荷重した状態で膝関節を捻った場合などに生じる．MRIで診断がつけば，関節鏡視下に可能な限り縫合術を行う．損傷部が修復困難な場合にのみ，部分的な切除が行われる．

　膝靭帯損傷，特に前十字靭帯損傷に伴う半月板損傷の場合では，靭帯再建術と同時に，半月板修復術が行われる（→，「膝靭帯損傷」の項参照）．

　円板状半月はアジア人に多い半月板の形態で，ほとんどが外側半月板に生じ，易損性である．円板状半月自体は無症候性であるが，損傷が生じることで発症する．

　損傷円板状半月は，その機能を温存するためにも鏡視下に形成的部分