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ニュートピックス
・内側膝蓋大腿靭帯(MPFL)再建手術にinternal braceを用いた低侵襲手術,X脚の膝蓋骨脱臼に対する大腿骨内反+回旋骨切り手術など下肢アライメントへのアプローチが近年行われている.
治療のポイント
・初回脱臼はサポーターなどを用いた保存治療.
・反復性脱臼に移行した場合,手術が推奨される.
・膝蓋骨外側偏位や傾斜が残存する症例は将来,膝蓋大腿関節症へ移行しやすい.
◆病態と診断
A病態
・脱臼素因としては膝蓋骨高位や大腿骨滑車低形成などがみられ,関節弛緩性の指標の1つであるthumb signが陽性で10代の女性に多い.
・初回脱臼後,15~40%は反復性脱臼に移行し,その半数は5年以内に再脱臼がみられると報告されている.
・外反膝(X脚)による筋力不均衡が,膝蓋骨脱臼と関連することもある.
・脱臼経験者は積極的なスポーツ活動を回避する傾向にあり,大腿四頭筋の萎縮が将来的な膝蓋骨不安定症の症状として膝前面部痛が継続する.
B診断
・単純X線撮影では軸位30度撮影が必須である.側面像でも30度膝屈曲位で撮影とし,膝蓋骨の幅が大きく写っている場合は,内側膝蓋大腿靭帯(MPFL:medial patellofemoral ligament)が断裂し,外方傾斜が生じていることを示唆する所見である.
・関節穿刺にて関節内血腫(特に脂肪滴の有無)を確認し,骨折や骨軟骨損傷をMRIとともに評価する.
◆治療方針
A脱臼整復
大半の症例で,膝蓋骨は外側に脱臼している.整復法は,局所麻酔10mL程度関節内注射を行い,膝関節にゆっくり外反ストレスをかけながら屈曲から伸展位へ戻す過程で,膝蓋骨を内側へ圧迫すれば礫音とともに整復される.2週間膝伸展位固定で,その後膝蓋骨用サポーターを3か月程度装着し少しずつ運動を許可する.保存治療で反復性に移行するなら手術を考慮する.
B手術方法
骨端線