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GLアキレス腱断裂診療ガイドライン2019改訂第2版
◆病態と診断
A病態
・加齢によるアキレス腱の変性を基盤として発生する.
・好発年齢は30~40歳代である.若年者はスポーツ中,高齢者は日常生活中の受傷が多い.
B診断
・多くは的確な問診と徒手検査で診断できるが,下腿の肉離れや足関節捻挫などと誤診されることも少なくない.
・「アキレス腱部を後ろから蹴られた」,「ポーンという音がした」という特徴的な受傷状況があれば,診断の助けとなる.
・つま先立ちは不能だが,足関節の自動底屈は可能であることに注意する.約1/3の例では歩行可能である.痛みの程度はさまざまである.
・断裂部の陥凹の触診,Thompson test(腹臥位,膝伸展または屈曲位で,腓腹部を把握したときに足関節が底屈しない,図),knee flexion test(腹臥位で膝を伸展位から屈曲させたときに,足関節が底屈位を保持できずに中間位や軽度背屈位となる)などの徒手検査のうち,2つ以上で断裂が疑われれば診断は確実である.
・超音波検査は簡便かつ非侵襲的であり,診断率も高い.
◆治療方針
ギプスや装具を用いた保存療法と,断裂部の縫合を行う手術療法に大別される.急性期の腱実質部断裂であれば,いずれの治療法も適応がある.患者の背景や希望に合わせて治療法を選択する.日本整形外科学会の「アキレス腱断裂診療ガイドライン」も参照されたい.
手術療法は保存療法と比べて再断裂率が低く,早期に仕事復帰ができることが利点である.一方で,手術療法は感染や神経損傷などの合併症の頻度が多いことが欠点である.保存療法は,患者の理解とともに治療を熟知した医療者の管理下で行う必要がある.
保存療法,手術療法のいずれでも,早期より荷重,関節可動域訓練を開始する早期運動療法が治療成績を向上させる.
治療後には筋力低下や機能低下が残存するものの,日常生活やレ