ニュートピックス
・超高齢社会になり,低エネルギー外傷による上位頸椎損傷の発生頻度が増えている.特に高齢者軸椎骨折では,損傷後に発生する嚥下障害,誤嚥性肺炎,尿路感染といった合併症が多く,死亡率,偽関節率の高さが問題となっている.
治療のポイント
・頸椎を安定化することで疼痛をコントロールし,早期離床を促すことは合併症の予防に重要である.
・高齢者に対するhalo固定の長期装着は,合併症率や死亡率が高いとの報告が多い.
・頸椎骨折に合併する頸髄損傷に対し,迅速な除圧術が重要である.
・頸椎骨折に合併する椎骨動脈損傷についても注意を払う.
・画像検査で良好なアライメントであっても,必ずしも損傷部位の安定性を示すものではないため,X線動態撮影が必要なこともある.
◆病態と診断
A病態
・上位頸椎である環椎・軸椎は,それ以下の中下位頸椎と形態が大きく異なっており,頸部回旋運動に特化した形状となっている.高齢者では加