頻度 あまりみない
治療のポイント
・椎骨の奇形によって生じる脊柱変形の総称である.
・形態によって予後はさまざまであるため,早期に小児脊椎外科の診療に習熟した者にコンサルトする.
・重症例では呼吸機能障害や麻痺をきたすことがある.
・進行例には手術が必要となる.
◆病態と診断
A病態
・椎骨発生異常による奇形に伴って側弯や後弯などの変形をきたす.
・原因不明であるが,VATER症候群など先天性疾患やそのほかの遺伝性疾患に合併することがある.
・変形進行のリスクは形態によって大きく異なる.
・肋骨癒合を伴う側弯の進行例では,胸郭形成不全により呼吸機能障害をきたすことがある.
・胸椎後弯の進行例では,脊髄圧迫により麻痺をきたすことがある.
B診断
・立位全脊椎X線のほか,椎骨奇形の形態評価のためCTの3D再構成を行う.
・脊髄奇形のスクリーニングのため,全脊椎MRIを実施する.
・心奇形・腎奇形のスクリーニングのため,超音波検査を行う.
◆治療方針
5歳まで,および思春期は特に成長が著しく,変形が進行しやすいので頻回に経過観察を行う.骨成熟以降は急速な進行のリスクはほとんどない.
A保存療法
骨未成熟期の小児では,ギプスや装具による矯正が手術のタイミングを遅らせるために試みられることもある.
B手術療法
進行例には,変形椎体の切除および上下椎に挿入したスクリューとロッドによる矯正固定術が行われる.高い矯正力の一方,出血・神経障害などのリスクは大きく,骨未成熟児では胸郭形成不全や変形の再増悪をきたしうる.
奇形椎の上下に挿入したスクリューをロッドでおよそ半年ごとに徐々に延伸して矯正するgrowing rod法や,側弯凹側の肋骨にかけたフックをロッドで延伸するVEPTRなどの成長温存手術が選択されることもある.多数回手術による創部感染や,インプラントの緩みなどが課題である.
■専門医へのコンサルト
・さまざまな形態を取り