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治療のポイント
・発育期の腰椎分離症は腰椎関節突起間部の疲労骨折であり,青少年のスポーツ選手に好発する.初期の段階で診断がつけば骨癒合を目指した治療が可能であるが,病期が進行するにつれて骨癒合率が低くなる.
・骨癒合せずに偽関節になっても,無症候性であることが多い.分離部の滑膜炎による腰痛の多くは,保存治療で対応可能である.
・成人後に分離部椎体のすべりを生じると,下肢痛などの神経症状を呈することもある.保存治療に抵抗する場合は椎体間固定術などの手術が必要となる.
◆病態と診断
A病態
・腰椎分離症は,青少年期のスポーツ活動で繰り返す腰椎の伸展・回旋動作に伴い,腰椎椎弓の関節突起間部に生じる疲労骨折である.下位腰椎に生じることが多い.
・疲労骨折から分離に至る過程は,(超)初期・進行期・終末期に分けられる.初期の痛みは疲労骨折そのものの痛みであり,終末期(偽関節)には滑膜炎を呈すると痛みが出る.
・分離症の症状は,基本的に腰痛のみであるが,骨癒合せずに分離すべり症に移行した場合には,椎間孔狭窄や脊柱管狭窄に伴う下肢痛・しびれ,筋力低下などの神経症状を呈することがある.
・分離すべり症への移行は,成人の場合には椎間板変性に伴って生じるが,発育期では成長軟骨板で生じるため,学童期で骨が未熟なほどすべりが進行しやすい.
B診断
・発育期分離(疲労骨折)に特徴的な身体所見として,罹患椎体に限局した棘突起の圧痛や,関節突起間部にストレスがかかる腰椎伸展や回旋動作で増強する腰痛がある.
・早期診断にはMRIが有用であり,T2脂肪抑制やSTIR画像で椎弓根部の高信号で骨髄浮腫を評価する.MRIで診断が確定した場合は,CTにて骨折部の状態を評価し,超初期・初期・進行期の病期分類をする.
・単純X線で分離部が確認できるのは,成人の分離症を含め終末期に至ってからである.
◆治療方針
A保存治療
保存治療の目的