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GL骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版
治療のポイント
・誘因なく生じることも多いため,疑った場合には直ちに画像検査を行う.
・受傷時に麻痺などの神経症状がない限り,保存療法が第1選択となる.
◆病態と診断
A病態
・骨粗鬆症では,皮質骨よりも海綿骨の粗鬆化が進行しやすい.海綿骨が豊富な椎体は,骨粗鬆症による骨折が最も生じやすい部位である.
・骨粗鬆症性椎体骨折は,転倒してしりもちをつくなどの軽微な外傷で生じるが,誘因なく生じることも多い.実に,本骨折の約2/3には誘因がないと推定されている.
・椎体骨折は,手術をしない限り圧潰した状態で変形治癒する.したがって,圧潰の程度が強かったり,骨折が多発した場合には,治癒後に脊柱後弯変形が残存する.脊柱後弯変形は,慢性腰背部痛の原因となり,日常生活動作を障害し,生活の質を低下させる.
B診断
・多くは単純X線像で診断できるが,圧潰が軽度の場合には診断が困難である.仰臥位と坐位のX線側面像で椎体高の変化がみられれば,新鮮椎体骨折と診断できる.
・単純X線像で診断ができない場合には,MRIで診断する.MRIは,単純X線像では区別ができない既存骨折と新規骨折の鑑別にも有用である.
◆治療方針
A保存療法
急性期には体幹装具(コルセット)を装着し,骨折部の安静と安定化をはかる.体幹装具には,軟性装具,半硬性装具,硬性装具などさまざまなものがある.
筆者は,腰椎の骨折であっても,体幹の前後屈を制限するように,胸椎からの長めの体幹装具を用いている.
B手術療法
一般的な手術の適応は,下肢麻痺などの神経症状,有症状の椎体偽関節,保存療法に抵抗する脊柱変形である.
保存療法に抵抗する急性期から亜急性期の頑固な腰背部痛には,椎体内に骨セメントなどを充填する椎体形成術がよい適応となる.椎体形成術のなかでも,専用の器具を用いて行うBKP(balloon k