今日の診療
治療指針

関節リウマチ(外科)
rheumatoid arthritis(surgical intervention)
永瀬雄一
(東京都立多摩総合医療センター・リウマチ外科医長)

GL関節リウマチ診療ガイドライン2020

ニュートピックス

・近年セメントレスの人工足関節,新しい人工手関節が使用可能となり,関節リウマチに対しても適応症例が増加傾向であるが,長期成績は不明であり慎重な適応を要する.

治療のポイント

・リウマチ患者の高齢化や既存の肺,腎臓障害,薬剤の副作用のために十分な薬物治療を行うことができず,関節破壊が進行する症例は現在も存在する.

・可能な薬物治療が十分に行われ,関節内注射や装具療法,リハビリテーションの効果が不十分で日常生活に支障がある場合に外科的治療を考慮する.

◆病態と診断

・「関節リウマチ(内科)」の項()参照.

◆治療方針

A滑膜切除術

 薬物治療を行っても滑膜炎による腫脹,疼痛が著しく関節破壊が軽度の場合に適応となるが,薬物治療の進歩により施行頻度は減少した.現在は主に関節鏡視下に肩,肘,膝,足関節の滑膜切除術が行われている.

B関節形成術

 関節破壊が高度になる前に,関節機能と可動域を残存させるために行われる.リウマチ前足部変形に対する関節温存手術が普及し,良好ななか,長期成績が報告されている.

 遠位橈尺関節包の破綻と滑膜炎の波及による手指伸筋腱断裂に対して,手関節形成術と伸筋腱再建術を行う.

 関節破壊や脱臼の生じていない手指変形に対しては腱の走行を解剖学的位置に修正し,拘縮の生じている関節包を剥離することで関節を温存しながら変形矯正術を行う.

C関節固定術

 高度な関節破壊に対し,除痛と関節安定化を目的に行う.固定部位の可動性は失われるものの長期成績は良好である.距腿関節,距骨下関節,距舟関節,踵立方関節,手関節,手指や足趾のIP(指節間)関節,DIP(遠位指節間)関節,PIP(近位指節間)関節などに適応となる.

D人工関節置換術

 進行期から末期の関節破壊に適応となる.除痛効果に優れ,関節安定性と可動域が獲得できる.股,膝,足,肩,肘,手,手指M

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?