GL関節リウマチ診療ガイドライン2020
治療のポイント
・関節リウマチのリハビリテーション治療とはリハ室での訓練だけを意味するのではなく,家庭での自主訓練や生活指導をも含んだ治療概念である.
・原則は「関節保護」である.
・「低強度」の「簡単」な運動を「継続」することが大切である.
◆病態と診断
・「関節リウマチ(内科)」の項(→)参照.
◆治療方針
リハビリテーションや日常生活指導は,薬物療法と手術療法を補完し,それらの効果を高めるために重要である.運動療法・作業療法は,行うべきであると強く推奨される治療である.
A運動療法
筋力維持・増強運動は関節保護を念頭に,関節を動かして行う等張性運動ではなく,関節を動かさなくても実施可能な等尺性運動とする.下肢の大きな筋肉に対して,簡単で低強度な等尺性運動を継続して行わせる.その代表がクワド・セッティングなどによる大腿四頭筋訓練である.
B物理療法
関節疼痛には温熱療法も選択肢のひとつとなる.ただし人工関節などの金属が挿入されている部位に極超短波をあてると,金属の加熱により熱傷を引き起こす危険があるので禁忌である.
C作業療法
手指の関節可動域訓練と筋力強化訓練を含めた自己訓練プログラムは高い効果があるとされている〔SARAH(Strengthening and Stretching for Rheumatoid Arthritis of the Hand)study〕.
D日常生活指導
関節保護を念頭に装具の使用も考慮する.
1.頸椎の保護(環軸椎亜脱臼の進行予防)
頸椎装具の使用も考慮する.高い枕は使用しない.読書の際には書面台を用いて本を目の高さに合わせる.
2.手指変形の進行予防
手関節軟性装具の使用も考慮する.重い荷物は手で持たず肩にかける(体軸に近い関節の利用).コップは取っ手のみでなく本体を両手で持つ.雑巾がけは橈・尺側方向でなく前後方向に