今日の診療
治療指針

がんの骨転移
bone metastasis
澤田良子
(神戸大学・整形外科)

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GL骨転移診療ガイドライン(2015)

ニュートピックス

・「骨転移診療ガイドライン」の改訂版が2023年に発行される見込みである.

治療のポイント

・骨折や麻痺の予防・治療が最も重要である.

・化学療法などの全身治療と,鎮痛薬,骨修飾薬などの薬物治療,放射線治療,手術治療,リハビリテーション治療を組み合わせて患者の活動度を維持する.

・多診療科・多職種での連携が必要不可欠である.

・脊髄圧迫による麻痺はoncologic emergencyであり,早急な対応が必要である.

◆病態と診断

A病態

・骨転移の多くが血行性に転移し,骨形成と骨吸収のバランスが崩れて病変が進行する.

・年間約10~20万人の新規骨転移患者が発生すると推定されている.

・骨転移を生じやすい癌は,前立腺癌乳癌肺癌が代表的で,腎癌,肝癌,大腸癌,甲状腺癌なども臨床上問題になりやすい.

B診断

・画像所見から,溶骨型,造骨型,骨梁間型に加え,それらの混合型がある.

・骨折のリスク評価にはCTを用いるが,骨梁間型は単純CTで描出されない点に注意が必要で,PETやMRIで初めて病変が認識されることがある.

・骨転移は一般的に多発例が多く,頸部や骨盤など,ルーチンのCT撮像範囲外の骨転移の存在に留意する.

◆治療方針

 整形外科的緊急対応が必要な患者を選別し,治療することが重要である.すなわち,荷重骨の骨折/切迫骨折,脊髄圧迫による麻痺/切迫麻痺を見逃さないことである.

 特に,脊椎転移による麻痺が出現する前には,頑固な背部痛(頸部痛/腰痛)に加え,神経根症状(胸椎レベルなら側胸部から心窩部へ帯状に放散する痛み)が先行することが多い.

 骨転移の適切な治療には予後予測が重要で,主治医の予測を確認するとともに,片桐スコアや徳橋スコアなどを参考にする.骨折や麻痺の危険性は,画像所見や増大スピードから推測する.

 骨転移に対する局所治療では

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