今日の診療
治療指針

泌尿器科疾患 最近の動向
堀江重郎
(順天堂大学大学院教授・泌尿器外科学)

A最近のトピックス

1.がんゲノムプロファイル

 2022年には遺伝子パネル検査の保険収載の詳細が改定され,がんゲノムプロファイル検査の1つであるFoundationOneについて,がんゲノムプロファイル検査提出の時点で44,000点が回収でき,エキスパートパネルによるがんゲノムプロファイル評価提供時に追加で12,000点が算定できることとなった.2021年8月に新たに保険適用となった体液でコンパニオン診断やがんパネル検査を行うFoundationOne Liquidと合わせて,すべてのがん種でprecision medicineが実臨床でもさらに応用されていく時代になるだろう.

2.男性更年期障害

 「男性の性腺機能低下症ガイドライン2022」(日本内分泌学会,日本メンズヘルス医学会),「LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き」(日本泌尿器科学会,日本メンズヘルス医学会)(2022)が発刊され,男性更年期障害が注目されている.

B前立腺癌の新しい治療

1.前立腺癌局所療法(focal therapy)

 わが国においては,限局性前立腺癌に対して,高齢や治療中の併存疾患を理由に従来の侵襲的治療が不適な場合にアンドロゲン除去療法が長期に実施され,骨粗鬆症や認知障害などの治療関連合併症が生じることが問題となっている.そこで,がん病巣が小さく,悪性度が低い前立腺癌に対しては,低侵襲的に「癌制御を行うこと」と「生活の質が維持できること」とが両立できる新たな治療選択肢としての前立腺癌局所療法,すなわち“focal therapy”が期待されている.「前立腺癌局所治療用医療機器の臨床評価方法に関するガイドライン」(2021)では,ablation治療技術として,凍結治療機器(cryoablation),高密度焦点式超音波治療機器(HIFU:high intensity focused

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