GL泌尿器腹腔鏡手術ガイドライン2020年版
ニュートピックス
・国産初の手術支援ロボット「hinotori」では,高速通信,AIなどのテクノロジーを駆使した遠隔手術環境を構築する研究が進められている.
治療のポイント
・ロボット支援腹腔鏡下手術は,開腹術,腹腔鏡下手術と比較して,出血量,周術期アウトカムや機能温存,入院期間やQOLに関して優位性が期待できる.
◆病態と診断
・副腎腫瘍(原発性アルドステロン症,クッシング症候群,褐色細胞腫など),腎細胞癌,腎盂尿管癌,膀胱癌,先天性水腎症,骨盤臓器脱,腎移植のドナー腎,尿膜管に対して,それぞれ腹腔鏡手術が適応になる(すべて保険適用).先天性膀胱尿管逆流に対しては,腹腔鏡下膀胱内手術が保険収載され,入院期間の短縮と整容性に優れている.
・術前にはそれぞれの疾患にあった画像診断が行われるが,3DCTが病変や血管系の評価に有用である.
◆治療方針
進行癌を除き,限局性悪性腫瘍の多くが腹腔鏡手術の適応となるため,泌尿器科医を含む外科医にとって,腹腔鏡下手術の安全かつ確立された技術習得が求められている.腹腔鏡手術のメリットは,開腹術と比べて出血量の減少,術後疼痛の軽減,入院期間の短縮,より早い機能性の回復,QOLの改善がある.
腹腔鏡下手術は,直径が5~12mmのトロッカーを皮膚より穿刺,腹腔内もしくは後腹膜腔に挿入する.二酸化炭素を送気し腹腔内を拡張させたのち,この操作孔から手術に必要な器械を入れ手術操作を行う.腹腔鏡手術は術者が直接鉗子類を扱うものとロボット支援下に行うものがある.手術支援ロボット「ダヴィンチ―da Vinci―」は米国Intuitive Surgical社が開発した内視鏡手術支援ロボットで,3本のロボットアームと内視鏡(腹腔鏡)と操作コンソールから構成される.国産初の手術支援ロボット「hinotori」も同様の機能をもつ.術者は