頻度 あまりみない
治療のポイント
・尿路・性器結核の薬物治療は,耐性化を防ぐためほかの結核と同様に多剤併用療法が基本となる.
・薬物療法で治癒しない膿瘍や瘻孔,尿路の通過障害に対しては泌尿器科的処置が必要となることがある.
◆病態と診断
A病態
・尿路・性器結核は,肺外結核の約20%を占める.
・通常,腎や精巣上体,前立腺結核は肺結核病変からの血行性感染であり,局所進展によりほかの尿路・性器結核を発症する.
・BCG膀胱内注入療法後に尿路結核をきたすことがある.
B診断
・尿路・性器結核に特異的な症状はない.尿路結核では頻尿や排尿痛などの排尿障害が,陰嚢腫瘍や前立腺結核では無~有痛性の硬結がみられることがある.
・尿検査で無菌性膿尿がみられる場合には,尿路結核を疑い,抗酸菌染色,抗酸菌培養,PCR検査を行う.
・肺結核の有無を胸部X線写真またはCTで確認する.
・造影CTで腎の膿瘍形成,石灰化,腎盂・腎杯の不整像,尿管狭窄などの所見がみられる.
・膀胱結節や陰嚢内結節など腫瘍性病変との鑑別のため,生検が必要となることがある.
◆治療方針
ほかの結核と同様の薬物治療が行われる.尿路結核患者の尿中に存在する結核菌から感染することはまれであり,外来治療が可能である.薬物療法開始後も6か月から12か月ごとに尿抗酸菌培養とPCR検査を実施する.
A標準治療
薬物療法の基本は4剤以上の薬剤による多剤併用療法である.薬剤に特有の副作用に留意し,臨床症状と血液検査所見を注意深く観察しながら治療を行う.
Px処方例 治療開始2か月間は下記の4剤を併用する.その後,1)と2)をさらに4か月間継続し,合計6か月間の治療を行う.
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