今日の診療
治療指針

膀胱・尿道結石
bladder stone and urethral stone
宮澤克人
(金沢医科大学主任教授・泌尿器科学)

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治療のポイント

・下部尿路通過障害,慢性膀胱炎,膀胱内異物,尿道カテーテル長期留置など結石を形成する基礎疾患や状況が合併していることが多く,その治療と改善が必須である.

・膀胱結石は内視鏡手術(経尿道的結石砕石術)が第1選択となり,体外衝撃波砕石術(ESWL)や溶解療法は通常行わない.

・尿道結石は原則的に結石を膀胱内に戻し治療する.

Ⅰ.膀胱結石

◆病態と診断

A病態

・膀胱結石は70歳以上の高齢者に多く男性では増加傾向にある.

・男性はカルシウム結石が多く,女性の約50%は感染結石である.

・膀胱結石は難治性・再発性尿路感染症の原因疾患となる.

B診断

・腹部エコー,腎尿管膀胱部単純X線撮影(KUB:kidney ureter bladder),CTなどの画像検査を行う.

・CTは尿酸などX線透過性結石の診断や結石成分の推定も可能である.

・尿道膀胱鏡で診断を確定する.

◆治療方針

 内視鏡手術が第1選択となり,レーザー,圧搾空気,超音波などの砕石装置で結石を破砕し抽石する.ESWL(extracorporeal shock ware lithotripsy)は保険適用がなく,薬剤による溶解療法は一般的に効率がよくない.巨大結石では開腹術が適応となることもある.基礎疾患の治療を並行して行う.

Ⅱ.尿道結石

◆病態と診断

A病態

・上部尿路結石および膀胱結石が尿道に嵌頓したものが大部分である.

・尿道憩室に形成される原発性はまれである.

B診断

・男性の前部尿道結石は触知可能である.女性では経腟的に触知されることがある.

KUBCTなどの画像検査と尿道膀胱鏡で診断を確定する.

◆治療方針

 前部尿道結石は鉗子で外尿道口から摘出する.後部尿道結石は金属ブジー,内視鏡で結石を膀胱内に戻し膀胱結石に準じて砕石・抽石する.

■患者説明のポイント

・基礎疾患を合併している可能性が高く,その検索が必要であることを説明す

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