今日の診療
治療指針

膀胱尿管逆流症
vesicoureteral reflux(VUR)
大橋研介
(埼玉県立小児医療センター・泌尿器科科長)

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GL小児膀胱尿管逆流(VUR)診療手引き 2016

ニュートピックス

・ST合剤(バクタ)は乳幼児の腸内細菌叢を変化させることで尿路感染を減らす可能性があることが示された.

治療のポイント

・繰り返す有熱性尿路感染症(fUTI)の原因疾患として最も重要である.

・乳児では自然消失も期待できる.

・予防的抗菌薬治療の効果は限定的である反面,手術治療は成功率が高く腎保護やQOLの獲得に貢献する.

・幼少時の両側高度VURは将来,逆流性腎症に伴う慢性腎臓病(CKD)から末期腎障害(ESRD)に移行する可能性がある.

◆病態と診断

A病態

・膀胱尿管逆流(VUR)は,膀胱内の尿が尿管,腎盂・腎杯,腎実質まで逆流する現象で,先天性腎尿路疾患に高率に合併する.

有熱性尿路感染症fUTI:febrile urinary tract infection)を発症した児の30~50%にVURを合併している.

・VURは家系内に多く発症する(30%).

・VURは原発性と続発性に分類され,原発性では逆流防止機構の形成不全や未熟性が,続発性では神経因性膀胱(高圧膀胱)や下部尿路閉塞による逆流防止機構の破綻が原因と考えられる.

B診断

・「小児膀胱尿管逆流(VUR)診療手引き2016」の診療アルゴリズムに沿って診断治療が行われる.VURが疑われる患者(反復性fUTI,先天性水腎症,排尿障害など)に対し問診・家族歴・身体所見・検尿・超音波検査を行う.

・VURは下部尿路機能障害〔尿失禁,頻尿,包茎(男児)〕や便秘(BBD:bladder bowel dysfunction)が強く関連するためそれらの精査・加療を行う.

・画像検査では排尿時膀胱尿道造影VCUG:voiding cystourethrogram)により診断確定する.VCUGでは逆流の有無,グレード,膀胱形態,尿路異常(後部尿道弁など)の有無を確認する.

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