頻度 よくみる〔40歳以上の12.4%(14.1%)〕
GL過活動膀胱診療ガイドライン[第2版](2015)
GL過活動膀胱診療ガイドライン[第3版](2022)
治療のポイント
・問診で尿意切迫感(突然に起こる我慢できない激しい病的な尿意)を確認し,過活動膀胱以外で頻尿の原因となる疾患の除外診断を行う.
・残尿100mL以上,血尿,抗菌薬により改善しない膿尿がある症例は,専門医に紹介する.
・高齢者ではβ3 作動薬をfirst choiceとし,効果不十分であれば注意して抗コリン薬への変更を考慮する.
・前立腺肥大症を有する中高年男性では,排尿困難を避けるためα1 遮断薬などを先行投与する.
◆病態と診断
A病態
・脳血管障害や脊髄傷害などを原因とする神経因性の過活動膀胱(OAB)と明らかな神経系の原因のない非神経因性のOABがある.
・非神経因性OABは,前立腺肥大症や骨盤臓器脱などの下部尿路閉塞,骨盤底の脆弱化,加齢,特発性が原因とされる.
・いずれのOABも,尿流動態検査上,蓄尿期に排尿筋過活動(DO:detrusor overactivity)が存在することが示唆されているが,診断に尿流動態検査は必須ではない.
B診断
・OABは,尿意切迫感を必須とし,通常は頻尿と夜間頻尿を伴い,切迫性尿失禁を伴うこともある症状症候群である.
・悪性腫瘍(膀胱癌,前立腺癌など),尿路結石,下部尿路の炎症性疾患(細菌性膀胱炎,尿道炎,前立腺炎,間質性膀胱炎),子宮内膜症などの膀胱周囲の異常などの除外診断が重要である.多尿や夜間多尿との鑑別も必要である.
・過活動膀胱症状スコア(OABSS:Overactive Bladder Symptom Score)は診断,重症度評価,治療効果判定に有用である.
◆治療方針
A行動療法
生活指導,膀胱訓練,骨盤底筋訓練などの行動療法を第1選択とする.生活指導には,減量,生活習慣病
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