今日の診療
治療指針

亀頭包皮炎,包茎,嵌頓包茎
phimosis and balanoposthitis and paraphimosis
桑満おさむ
(五本木クリニック・院長(東京))

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治療のポイント

・亀頭包皮炎は男児が排尿痛を訴えた場合,一番に疑うべき疾患である.

・包茎は真性包茎・仮性包茎および嵌頓包茎に分類される.

・年齢に関係なく,嵌頓包茎は徒手整復が困難な場合は専門医にコンサルトする.

Ⅰ.亀頭包皮炎

◆病態と診断

A病態

・亀頭包皮炎は包皮および陰茎全体に腫脹発赤がみられるものであり,排尿時の痛み・触ったときの痛みあるいは自発痛が認められる.

・乳幼児から高齢者にまで広くみられる炎症性および感染性の疾患である.形態的に包茎であることが多い.

B診断

排尿痛,陰部に触れたときの痛み自発痛があれば視診によって腫脹および発赤した陰茎および亀頭を確認できる.

・膀胱炎様の主訴によって検尿時に膿尿が認められても亀頭包皮炎であることは少なくない.

◆治療方針

 亀頭包皮炎は包皮を翻転させ入浴時に洗浄させることによって清潔にすることである程度の予防効果は期待できる.しかし,包皮輪が狭い場合は嵌頓包茎となる可能性があるために幼児の入浴時には保護者が注意深く洗浄方法を伝える必要がある.

Px処方例 1)に必要に応じて2)を併用する.

1)ベタメタゾン吉草酸エステル・ゲンタマイシン(リンデロン-VG)軟膏 1日適量を数回塗布

2)セフカペン(フロモックス)小児用細粒 1回3mg/kg(力価) 1日3回 5日間

注意 まれに真菌が原因となる亀頭包皮炎もあるため,基本的には抗炎症性軟膏およびクリームの処方が基本となる.

■専門医へのコンサルト

・繰り返す亀頭包皮炎は特異的な習慣が原因となっている場合もある.

Ⅱ.包茎

◆病態と診断

A病態

・亀頭が包皮に覆われて露出しない状態を「包茎」と呼ぶ.亀頭と包皮がともに炎症を生じた状態を「亀頭包皮炎」と呼び,多くは包茎である.

・亀頭包皮炎を頻回に繰り返すことにより仮性包茎であった状態が真性包茎になることがある.

B診断

・視診によって包皮に隠れた亀

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