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GL精巣腫瘍診療ガイドライン2015年版
治療のポイント
・転移を伴う進行例であっても集学的治療により大半の症例で根治が可能であり,投与量と治療間隔を遵守した導入化学療法と適切な残存病変の摘除が重要である.
・ほかの悪性疾患よりも好発年齢が若いため,集学的治療を要する症例などでは肉体的だけでなく精神的,経済的,社会的な負担が生じることを理解しておく必要がある.
◆病態と診断
A病態
・20~40歳の若年男性に好発する.
・精巣腫瘍の大半は生殖細胞を起源とする胚細胞腫瘍であり,セミノーマおよび非セミノーマに大別される.
・非セミノーマは,胎児性癌,卵黄嚢腫瘍,絨毛癌,奇形腫に分類され,混合型もある.
B診断
・無痛性の陰嚢腫大が主訴であることが多い.
・腫瘍マーカーとして,AFP,hCG,LDHが有用で,治療方針の決定に用いられる.
・CTで,後腹膜リンパ節,肺,その他の転移の有無を評価する.
・まず高位精巣摘除術を行い病理検査で組織型の確定診断を行う.
◆治療方針
組織型(セミノーマのみ/非セミノーマ),高位精巣摘除術後の腫瘍マーカー値,転移所見に基づいて病期が決まり,進行例ではIGCCC(International Germ Cell Consensus Classification)という予後分類が治療方針の決定に用いられる.
AセミノーマStage Ⅰ
高位精巣摘除術後の転移再発率は15~20%であり,ガイドラインに従った経過観察(サーベイランス)が行われる.再発予防として,後腹膜リンパ節領域への放射線照射やカルボプラチン単剤による化学療法が行われる場合もある.
B非セミノーマStage Ⅰ
高位精巣摘除後の転移再発率は約30%である.再発低リスク群ではサーベイランスが行われる.精巣組織で脈管浸潤などを認める再発高リスク群では,再発予防にBEP(ブレオマイシン,エトポシド,シスプラチン