GL血尿診断ガイドライン2013
治療のポイント
・年齢,性によって尿中赤血球数の分布は異なるが,血尿の基準をそれぞれに設定する意義が明確でないため,尿中赤血球20個/μL以上または尿沈渣5個/HPF以上と定義されている.
・血尿陽性例は,「血尿診断ガイドライン2013」を参考にして診断,治療を行う.
・年齢,性差,疾患や病態の相違によって,顕微鏡的血尿および肉眼的血尿が出現し,それぞれに対して適切な診断および治療を行う.
◆病態と診断
A病態
・血尿とは,尿中に赤血球が混入した状態であり,内科的な腎疾患および泌尿器科的な尿路の異常を伴う疾患の可能性を示唆する重要な症候である.
・血尿の程度により,顕微鏡的血尿と肉眼的血尿に大別することができる.
・顕微鏡的血尿の原因は,腎・尿路悪性腫瘍,尿路結石症,内科的腎疾患などが挙げられる.尿中赤血球形態情報は,糸球体性,非糸球体性血尿の鑑別に有用である.変形赤血球(dysmorphic RBC,糸球体性赤血球)の出現は,内科的腎疾患の可能性を示唆する重要な所見である.また蛋白尿を伴う症例では,腎不全に至るリスクが高いことが知られており,腎機能予後を改善するためにさらなる精査を考慮する.
・肉眼的血尿の原因は,小児や25歳以下の若年者を除くと泌尿器科疾患(腎・尿路系の異常に基づく病態)によることがほとんどである.50歳以上の肉眼的血尿の原因として最も多いのは膀胱癌であり,80%以上が肉眼的血尿を主訴としている.腎細胞癌でもしばしば肉眼的血尿を認める.また比較的大きな前立腺肥大症では,増生した微細な血管が破綻して肉眼的血尿を認めることがある.腫瘍性病変以外では,尿路結石が尿路粘膜を傷つけることによる肉眼的血尿や,種々の原因(細菌感染や薬物など)による膀胱炎や,ナットクラッカー症候群,さらにIgA腎症のような内科的腎疾患でも肉眼的血尿を認めることもある.ナッ