治療のポイント
・カテーテル留置の必要性を評価する.
・留置の場合は,適切な管理と合併症への対策を行う.
・管理やトラブル対策のため,多職種での管理を検討する.
Aカテーテル抜去への取り組み
排尿障害の原因薬剤がないか確認する.
排出障害ではα1 遮断薬の内服や自己導尿の導入,蓄尿障害については抗コリン薬やβ3 受容体作動薬の内服など,排尿管理の見直しをはかり抜去を試みる.排尿筋収縮障害におけるコリン作動薬は,コリン作動性クリーゼなどの副作用に注意する.前立腺肥大症などの下部尿路閉塞では外科的治療も選択肢となる.抜去後も残尿測定や排尿状態の観察は続ける.
Bカテーテル管理と合併症への対応
1.管理方法
症例に合わせてカテーテルの種類や径を選択,閉鎖式尿道カテーテルキットでは無菌操作で挿入する.蓄尿袋は膀胱より低く置き,床に直接置かない.一般的に交換は2~4週間程度で行われ,カテーテル先端の結石付着や閉塞しがちな場合は1~2週間程度で交換する.尿流出不良時はミルキングや生理食塩液で膀胱洗浄を行い,閉塞や抵抗がある場合は交換する.
2.カテーテル関連尿路感染症
閉鎖式でも30日後にはほぼ100%細菌尿を認める.尿道周囲を洗浄・消毒しても細菌尿の発生頻度を減少させない.膀胱洗浄による閉塞の予防的効果はなく,長期臥床の予防や飲水指導による尿量確保(1L以上)を指導する.無症候性尿路感染症では予防的抗菌薬の投与は行わず,症候性尿路感染の場合には感受性のある抗菌薬投与を行う.
3.膀胱結石
感染結石(リン酸マグネシウムアンモニウム結石など)が多い.感染結石はウレアーゼ産生菌により尿素が分解され,尿アルカリ化のもとで形成される.閉塞が繰り返される場合は結石の有無を確認する.尿路感染症や感染結石の予防に尿酸性化が有効なこともある.
4.尿道損傷
カテーテルの自己抜去や強引な挿入,尿道内での固定水の注入・固定