今日の診療
治療指針

自己導尿法(清潔間欠自己導尿法)
self-catheterization(clean intermittent self-catheterization)
中島耕一
(東邦大学教授・泌尿器科)

ニュートピックス

・潤滑性と外出先での操作性に優れた親水性カテーテルが複数発売された.ただしコストには留意が必要である.

治療のポイント

・自己導尿の目的は,膀胱過伸展と尿路感染の予防である.

・残尿の治療としてα1 遮断薬とコリン作動薬の併用がありうるが,効果が不十分であればいたずらに薬物治療を継続しない.

・導尿回数は,1回導尿量が400mLを超えないように設定する.

・無菌的操作は必要なく,指導に際しては手指洗浄などの清潔操作が保たれればよいことを伝える.

◆病態と診断

A病態

・排尿筋低活動をきたす神経因性の疾患のために残尿過多が生じた場合や前立腺肥大症など下部尿路閉塞で尿閉あるいは残尿をきたす場合,またはTh6以上の脊椎損傷患者でみられるような自律神経過反射をきたしたり,低コンプライアンス膀胱などで高圧蓄尿をきたす状態に対しても自己導尿の導入を検討する.

B診断

・残尿の診断は,超音波による排尿後の膀胱観察で行う.

・主訴は残尿感がわかりやすいが頻尿として訴える場合がある.

・残尿の測定はばらつきが多いので複数回測定するのが望ましい.

・高圧蓄尿の診断には膀胱内圧検査が必要である.

◆治療方針

 尿排出障害に対して,安易に尿道留置カテーテルや膀胱瘻を選択しない.患者のQOL維持や尿路感染予防について自己導尿の有用性が有意に示されており,適応患者には積極的に考慮する.

■専門医へのコンサルト

・1回の導尿量が100mL以下となった場合:自己導尿から離脱できる可能性がある.

・導尿に際して血尿や痛みの訴えが生じたり挿入困難を訴えた場合:尿路感染や尿道狭窄・損傷などの合併症や導尿方法の再指導の必要性の可能性がある.

■患者説明のポイント

・自己導尿を提示すると,驚愕と拒否を示す患者が多い.目的と効果をしっかり説明することと無菌的操作は必要ないことや導入当初は必ずしも定められた回数をこなさなくてもよいなど,継続の

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?