今日の診療
治療指針

皮膚科疾患 最近の動向
阿部理一郎
(新潟大学大学院教授・皮膚科学)

◆病態と診断

Aアトピー性皮膚炎と自然リンパ球

 アトピー性皮膚炎は,根底にある炎症の形成にかかわるTh2細胞が産生するサイトカインであるIL-4,IL-13などが重要な役割を果たすとされてきた.近年,自然リンパ球と呼称される細胞が同定され,皮膚においてはこれらのサイトカインを産生するグループ2自然リンパ球(ILC2)が多く存在し,アトピー性皮膚炎においても病態形成に大きくかかわることが明らかになった.IL-4,IL-13,IL-31,IL-33,TSLP(thymic stromal lymphopoietin)などが含まれ,これらはバリア機能や瘙痒惹起などさまざまな作用を有し,それぞれをターゲットとした抗体製剤などが開発されている.

B皮膚エリテマトーデスに対する評価法

 2019年に日本リウマチ学会より発表された「全身性エリテマトーデス(SLE)の診療ガイドライン」では,皮膚エリテマトーデスに対する評価法としてのCLASI(Cutaneous Lupus Erythematosus Disease Area and Severity Index)の有用性が示された.急性期の指標である活動性スコアと慢性期の指標である慢性病変スコアに分けて評価することができ,的確な皮疹の病勢把握に有用である.

C薬剤性過敏症症候群の重症度スコア

 重症薬疹である薬剤性過敏症症候群は自然軽快する軽症例から,致死的合併症を発症する重症例まで幅広い症状を呈す.そのため急性期,回復期の重症度を評価することはきわめて重要である.2018年,薬剤性過敏症症候群の重症度スコア(DDS:DIHS/DRESS severityスコア)が提唱された().特に致死的合併症のサイトメガロウイルス(CMV)再活性化と相関するもので,スコアが1未満の場合はステロイド不要,4以上の場合は重症例としてプレドニゾロン50mg/日以

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