今日の診療
治療指針

接触皮膚炎
contact dermatitis
大日輝記
(香川大学教授・皮膚科学)

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GL接触皮膚炎診療ガイドライン(2020)

ニュートピックス

・COVID-19関連刺激性接触皮膚炎は,手袋,消毒薬,マスクのほか,ガウンでも報告があり,接触じん麻疹も鑑別に挙がる.

・医原性の接触皮膚炎の原因として,医用テープや医用接着剤のほか,持続血糖測定器やインスリンポンプなども問題となっている.

治療のポイント

・病歴と分布から原因物質を推測し,接触を防ぐ.原因さえ取り除けば,1,2週間以内に軽快する.

・ステロイドの外用が基本となる.吸収のよい顔面,頸部,外陰部ではクラス4(マイルド)を用いる.1日2回,成人の手掌大の面積に対して0.5g(示指の末節の長さに絞り出した量)を目安に,十分量を処方する.

・ワセリンなどを用いたスキンケアはすべての重症度で推奨できる.

・瘙痒に対して一時的に抗ヒスタミン薬の内服を行ってもよい.

・遷延する場合,職業性に生じる場合は早期に専門医へ紹介する.

◆病態と診断

A概念

・いわゆる「肌あれ」「かぶれ」「ただれ」を指す.

湿疹皮膚炎群は皮膚疾患のなかで最も受診者数が多く,皮膚科受診者の4人に1人以上を占める.

・顔面,次いで上肢に最も多い.職業性に生じる場合は手が最も多い.

B病態

・外的要因が接触した部位の皮膚に生じる「湿疹性」の炎症反応をさす.

・湿疹性症状は,急性の新鮮な紅斑または小丘疹の集まりとして生じ,かゆみやヒリヒリ感などの自覚症状を伴う.

・しばしば漿液性の滲出,時に水疱やびらんの形成を経て,表皮の肥厚や不均質な鱗屑の付着をきたし,落屑または痂皮を生じた後に数日以上かけて消退する.

・炎症後色素沈着や色素脱失を一過性に伴うことがある.

・慢性化すると皮膚が肥厚し,ゴワゴワした「局面」となる.

C分類

・刺激性接触皮膚炎とアレルギー性接触皮膚炎に大別される.明確に区別できないことも多い.例えば,ウルシ皮膚炎やニッケル皮膚炎は,自然免疫の直接の活性

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