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GL手湿疹診療ガイドライン(2018)
治療のポイント
・外用薬による対症治療と悪化要因の除去を基本とする.
・生活歴の聴取によっても悪化要因が不明な場合は,パッチテストやプリックテストなどの皮膚検査により原因を検索する.
◆病態と診断
A病態
1.手湿疹
・外来の刺激や接触アレルゲンにより生じ,かゆみや痛みを伴う特徴的な皮疹(紅斑,丘疹,小水疱,鱗屑,角化,苔癬化など)を手に生じる.
・組織学的には表皮細胞間浮腫や海綿状態,水疱形成などを示す.
・機序から刺激性接触皮膚炎,接触アレルゲン(ハプテンや蛋白抗原)によるアレルギー性接触皮膚炎,蛋白接触皮膚炎,アトピー型手湿疹に分類される.
2.汗疱
・異汗性湿疹とも呼ばれる.掌蹠に落屑やかゆみの強い小水疱を多発する.
・発汗との関連性が考えられている.金属による全身型接触皮膚炎症候群(金属による全身型接触皮膚炎)が発症要因となる場合がある.
B診断
・手湿疹,汗疱ともに手に湿疹病変があることで診断する.
1.手湿疹
a.刺激性接触皮膚炎
刺激を受けやすい指腹,手掌,爪囲に乾燥や鱗屑,軽い紅斑がみられ,遷延すると苔癬化や角化,亀裂を生じる.
b.アレルギー性接触皮膚炎
アレルゲンに接触する部位に一致して瘙痒を伴う小水疱や紅斑がみられる.
c.蛋白接触皮膚炎
即時型アレルギーを機序とするため膨疹やかゆみを生じ,掻爬を繰り返して湿疹病変を続発する.
d.アトピー型手湿疹
外的刺激を受けやすい手背や手指背面に湿疹病変を生じる.
2.汗疱
・手掌,手指側面,足底に強いかゆみを伴う小水疱を主体とした湿疹病変が多発し,慢性化すると角化局面を生じる.
◆治療方針
対症治療と悪化要因の除去を基本とする.
A対症治療
1.外用治療
炎症が強い場合はステロイド外用薬を使用する.保湿剤を併用する場合も多い.
Px処方例 下記を併用する.
1)デキサメタゾン吉草酸エステル(ボアラ薬)軟膏