今日の診療
治療指針

虫刺され,痒疹
insect bites and prurigo
端本宇志
(防衛医科大学校准教授・皮膚科学)

頻度 よくみる(虫刺され)

頻度 割合みる(痒疹)

GL痒疹診療ガイドライン2020

治療のポイント

・痒疹は,結節性痒疹,多形慢性痒疹,(他に分類されない)痒疹に大別されているが,治療方針は同一である.

・治療は「痒疹診療ガイドライン2020」に収載の治療アルゴリズムに従うが,外用ステロイド薬と内服抗ヒスタミン薬以外はほぼ保険適用外であることに注意する.

・痒疹では基礎疾患を背景にもつことが多く,検索が必要である.

・難治の場合は類天疱瘡などの難病との鑑別も必要となるため,専門施設に紹介する.

◆病態と診断

A病態

・虫刺され(急性痒疹)は蚊やダニ,ブユなどの衛生昆虫の刺症により生じる急性皮膚反応であり,瘙痒や膨疹,丘疹が出現する.

・痒疹は,真皮上層において何らかの内因性ないし外因性の物質に対するアレルギー反応が持続し,瘙痒を伴う紅斑丘疹が出現して,掻破により時に表皮肥厚をきたす.

・四肢に結節が出現する結節性痒疹,側腹部にじん麻疹様の紅斑と丘疹が集簇する多形慢性痒疹,表皮内水疱を伴った丘疹が孤立性に分布する(亜急性)痒疹がある.アトピー性皮膚炎に随伴したり,肝・腎疾患など内臓疾患を背景にもつことも多い.

B診断

・虫刺されは病歴と皮膚症状から判断する.

・痒疹は皮膚症状から判断する.アレルギー素因や基礎疾患の有無の検索のために,採血検査も検討する.皮膚病理組織学的検査(HE染色および蛍光抗体法)は類天疱瘡との鑑別に有用である.

◆治療方針

 外用ステロイド薬と内服抗ヒスタミン薬で対応する.基礎疾患を有する患者ではその治療により痒疹が改善することも多く,積極的に検索をする.日本皮膚科学会の「痒疹診療ガイドライン2020」も参照されたい.

Px処方例 下記1),2)を併用する.痒疹で基礎疾患に慢性肝疾患か,透析が必要な腎機能障害があり,1),2)で効果が乏しい場合には3)も併用する.

1)ベタメタゾン酪酸エ

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