今日の診療
治療指針

結節性紅斑
erythema nodosum(EN)
谷川瑛子
(左門町皮膚科・院長(東京))

頻度 (誘因,人種,地理的環境により異なる.小児から成人までいずれもみられ,20~40歳代に多い)

治療のポイント

・反応性病変であるため,誘因と基礎疾患を想起して各種検査を実施する.

・治療は局所冷却と安静が第一である.内服は最初にNSAIDsを選択する.使用制限のある患者に注意する.

・急性型は通常1か月前後で消退するが,慢性型は年余にわたり繰り返す.

・非典型例・再燃を繰り返す症例は皮膚生検を実施後,治療方針を決定する.

◆病態と診断

A病態と誘因・基礎疾患

・ENはさまざまな誘因により脂肪組織に炎症を生じる遅延型アレルギーによる反応性皮膚病変である.

上気道感染(主に溶連菌)に続発するものが多く,他の原因として細菌・真菌・ウイルス感染症,結核などがある.原因薬剤として,経口サルファ薬,テトラサイクリン,経口避妊薬などが知られている.基礎疾患にベーチェット病,炎症性腸疾患,血管炎,リンパ腫などがある.ENは原疾患の一症状,または原疾患に先行して出現するが,原因不明の特発例が1/3を占める.

B診断

・典型例は両下肢伸側に生じる鶏卵大までの熱感を伴う有痛性紅斑または硬結),時に発熱,関節痛を併発すること,病理組織学的に葉間脂肪織炎(septal panniculitis)から診断する.基礎疾患の精査は必ず行う.

・検査所見:白血球増加,血沈亢進,CRP上昇などがみられる.

・鑑別診断:結節性動脈炎,ベーチェット病,血栓性静脈炎,硬結性紅斑,硬化性脂肪織炎,皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫など.

◆治療方針

A軽症

 局所冷却,安静と患肢挙上を行う.

B軽症から中等症

 皮膚症状と微熱,関節痛がある場合に下記の処方を行う.

Px処方例 下記1)と2)を併用する.感染症が明らかな場合は3)を追加する.

1)ロキソプロフェン(ロキソニン)錠(60mg) 1回1錠 1日3回 毎食後

2)レバミピド(ムコスタ)錠(

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?