今日の診療
治療指針

薬疹
drug eruption
藤山俊晴
(浜松医科大学講師・皮膚科学)

頻度 よくみる

GL重症多形滲出性紅斑スティーヴンス・ジョンソン症候群・中毒性表皮壊死症診療ガイドライン(2016)

ニュートピックス

・近年,分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬,各種の生物学的製剤などの種類および使用機会が急速に増えている.それに伴って,従来からよく知られていた薬疹とは異なる出現時期に特殊な臨床像を呈する例が多くなってきている.そうした「新しい薬疹」についての情報集積,治療法の確立が必要である.

治療のポイント

・非アレルギー性で用量依存性に出現するタイプでは対症療法を行いつつ,リスクとベネフィットを秤にかけながら投薬の継続・中止を判断する.

・アレルギー性の薬疹では原因薬剤の中止が必須となる.原因薬剤と考えられるものは,可能な限り中止・変更する.

・皮疹に対しては,その重症度に応じて,ステロイド外用,抗アレルギー薬内服,ステロイド全身投与などを行う.

・重症薬疹は,すみやかに専門家にコンサルトする.

◆病態と診断

A病態

・薬剤を投与することで発症する皮疹が薬疹である.薬疹には,薬理作用に関連して用量依存性に出現するタイプと,ごく限られた患者だけに突発的に発症するものに分けられる.例えば,前者は分子標的薬や抗がん薬による皮膚有害事象を,後者は抗菌薬などによるアレルギー機序による皮疹を指す.

・本項では,頻度が高く読者のニーズの大きいアレルギー性の薬疹につき主に解説する.

B診断

・診断は,投薬歴と皮疹の出現時期,皮疹の部位や性状などから行う.皮疹はさまざまな炎症性皮膚疾患に類似するが,全身に播種する粟粒大紅斑を呈する播種状紅斑丘疹型,標的状の皮疹を呈する多形紅斑型が多い.

・多くの薬疹は,原因薬剤投与開始から1週間程度で皮疹が出現することから,その時期に投薬内容の変更や追加がないか確認する.

・血液検査では好酸球増多,肝機能障害などがみられることが多い.皮膚生検では,表皮真皮境界部

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