今日の診療
治療指針

掌蹠膿疱症
palmoplantar pustulosis(PPP)
河野通良
(東京歯科大学市川総合病院准教授・皮膚科)

頻度 割合みる

ニュートピックス

・過去の後向き研究から,多くの症例で病巣感染が発症の契機となっており,病巣感染の治療により症状が改善することがわかってきた.

治療のポイント

・喫煙,病巣感染(歯性病巣感染,扁桃炎,副鼻腔炎)が多くの症例で増悪因子となっており,それらの除去を優先する.

・原因となる病巣感染の多くは自覚症状に乏しく,患者および治療を依頼する歯科医,耳鼻科医への十分な説明が必要である.

◆病態と診断

A病態

・手掌,足底に無菌性膿疱を生じる.小水疱から膿疱へ変化して痂皮化し,紅斑,落屑となり,これらが混在する.

・10~30%に骨関節症状を伴い,胸鎖関節炎の頻度が高い.

喫煙病巣感染がIL-17などの炎症性サイトカインと関連があること,喫煙が手足の汗腺に発現するニコチン性アセチルコリンレセプターに作用することなどが病態として考えられている.

B診断

・手足に限局する膿疱が診断根拠となるが,経過により症状が変化するため,水疱,落屑を呈する足白癬,異汗性湿疹などと鑑別を要する.

・骨関節炎では骨シンチグラフィにおいて9割以上に集積像が認められる.

◆治療方針

 悪化因子の除去を行い,下記の対症療法を行う.難治症例,骨関節炎を伴う症例は,生物学的製剤グセルクマブ投与を考慮して承認施設へ紹介する.

A外用療法

Px処方例 1)と2)を併用または混合塗布し,膿疱,びらんに3)を重層塗布する.

1)ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル(アンテベート)軟膏 1日2回 手足に塗布

2)マキサカルシトール(オキサロール)軟膏 1日2回 手足に塗布

3)酸化亜鉛(亜鉛華軟膏) 1日1回 重層塗布

B内服療法

Px処方例 下記を症状に応じて適宜用いる.

1)ビオチン散 1回2~4mg(成分量として) 1日3回 毎食後保外

2)エトレチナート(チガソン)カプセル(10mg) 1回1カプセル 1日2回 朝・夕食

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