今日の診療
治療指針

扁平苔癬
lichen planus
長谷川瑛人
(新潟大学・皮膚科学)

頻度 割合みる

治療のポイント

・薬剤,金属アレルギー,C型肝炎などの誘因の有無を精査する.

・有棘細胞癌の発生に注意する.

◆病態と診断

A病態

・HCVや薬剤,金属などが原因となることが多い.

・個疹は軽度に隆起する,わずかに鱗屑を伴う紫紅色調の丘疹,または局面である.爪の萎縮や脱落をきたすこともある.

・口腔粘膜には網目状,レース状の白色線状,またはびらん,潰瘍を呈する.

B診断

・診断には皮膚生検が必要である.病理組織学的に錯角化を伴わない過角化,顆粒層の肥厚,表皮突起の鋸歯状変化,表皮直下のリンパ球の帯状浸潤などの所見を認める.有棘細胞癌を合併することがあり,悪性所見の有無を確認する.

・誘因の精査のために,金属パッチテスト,HCV感染の精査,薬剤添加リンパ球刺激試験などを行う.

◆治療方針

 誘因がある場合は,誘因の除去,治療を行う.軽症例にはステロイド外用薬などを使用するが,効果が不十分であればステロイドやレチノイドの全身投与を行う.

A軽症例

Px処方例 下記のいずれか,または両方を用いる.

1)ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル(アンテベート)軟膏 1日2回 塗布(皮膚)

2)デキサメタゾン口腔用軟膏 1日2回 塗布(口腔内)

B重症例

Px処方例 下記のいずれかを用いる.

1)エトレチナート(チガソン)カプセル(10mg) 1回1カプセル 1日2回 朝・夕

2)プレドニゾロン(プレドニン)錠(5mg) 1回4錠 1日1回 朝

■専門医へのコンサルト

・診断には皮膚生検が必要なので,疑った場合は早期に皮膚科専門医へコンサルトする.



エビデンス

‍ ●扁平苔癬の治療に関するメタアナリシス プレドニゾロンやレチノイド,サラゾスルファピリジンなどの有効性が示されている.

・Atzmony L, et al : Treatments for cutaneous lichen planus : A

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