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治療のポイント
・できるだけ早期に抗ウイルス薬を全身投与する.
・患者の判断によって内服を開始する短期間治療も可能となった.
◆病態と診断
A病態
・単純疱疹は単純ヘルペスウイルス(HSV:herpes simplex virus)が,初感染の後に知覚神経節に潜伏し,主に口唇,性器に再発性の水疱をつくる疾患である.
・皮疹の出現前にピリピリとした痛みを伴う場合が多い.初感染はやや重症になる場合もあるが無症候で感染している場合が大半で,初発症状が再発である場合もまれではない.
・皮膚のバリア機能に異常がある場合は表面を播種して重症化する場合がある.
B診断
・多くは臨床診断が可能で,中心臍窩を伴う単調な集簇する水疱などの臨床像,再発を繰り返す病歴,性交渉の病歴などから診断する.
1.初感染
・単純疱疹の初感染の臨床像は,小児では歯肉にびらんが生じる歯肉口内炎,成人の上半身では皮膚や粘膜のやや重症の疱疹,性器ヘルペスでは性器周囲の水疱,びらん,としてみられる.
・多くの場合に発熱,倦怠感を伴い,特に性器ヘルペスの初感染では陰部のびらん,鼠径リンパ節腫脹などでかなり重症感のある症状を呈する.
2.再発性単純疱疹
・ピリピリとした先行する痛み,小型の粒の揃った中心臍窩を伴う集簇した水疱,から診断する.
・顔面の皮膚粘膜の境界部である口唇,鼻腔,眼囲に多く,性器ヘルペスでは陰部粘膜の周囲の皮膚にみられやすい.
・再発の誘因は口唇,顔面ヘルペスでは感冒後,日光曝露が多く,性器ヘルペスは性交渉が多い.
3.検査
・診断の確定はHSV抗原定性検査で行えるが,結果までに数日を要する.抗原検査は病変部の拭い綿棒をスライドグラスに押しつけてアセトン固定後風乾して提出する.
・一度感染するとHSV-IgG抗体価は常に陽性で,年齢とともに陽性率は上昇し,高齢者は大半が陽性である.抗体価は症状の有無で変動しないので,抗体陰性