今日の診療
治療指針

皮膚・粘膜のカンジダ症
cutaneous and mucosal candidiasis
常深祐一郎
(埼玉医科大学教授・皮膚科学)

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GL皮膚真菌症診療ガイドライン2019

治療のポイント

・病変が湿潤しているので軟膏基剤の外用薬を選択する.

・局所の湿度を下げる対策を併用する.

◆病態と診断

A病態

・皮膚・粘膜カンジダ症はCandida albicansが主な起因菌である.

・カンジダは口腔・咽頭や消化管,腟などの粘膜や一部の間擦部皮膚の常在真菌である.

・カンジダの病原性は強くなく,免疫不全状態,生理機能の未熟や低下(新生児,高齢者,妊娠),過度の湿度・浸軟,抗菌薬による菌交代などが誘因となる.

・カンジダ性間擦疹,カンジダ性指趾間びらん症,カンジダ性爪囲爪炎,爪カンジダ症,カンジダ性口角びらん,口腔カンジダ症,カンジダ性亀頭包皮炎などの病型がある.

B診断

・カンジダは常在真菌であるため,培養で検出されても必ずしも原因とはいえない.直接鏡検で病原菌としての寄生形態である仮性菌糸とブドウの房状になった胞子を確認する.

◆治療方針

 基礎疾患や局所の高湿度の状態を残していると容易に再発するため,薬物療法と並行して,基礎疾患の治療や局所の湿度コントロールを行う.

 カンジダ症に類似する他の疾患は多いため,臨床像がカンジダ症を考えさせるものであっても,菌の存在を確認しないまま抗真菌薬を投与してはならない.カンジダ症であっても抗真菌薬の刺激性皮膚炎で悪化することがある.しかし,抗真菌薬を使用すると菌が激減するためその後鏡検で菌要素を検出することは難しくなる.一方,もともとカンジダ症でなければ,抗真菌薬で改善しないし,菌要素は検出できない.よって,抗真菌薬を開始して改善しないという段階で専門医へコンサルトすると,鏡検を行って菌要素がみつからない場合,カンジダ症であるかどうか区別できない.

 臨床的にカンジダ症を考えさせるが,鏡検で菌が検出できないときは,見切りで治療するのではなく,ステロイドを外用し,1~2週間後に再度鏡検を

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