頻度 あまりみない
GL疥癬診療ガイドライン(第3版)(2015)
GL疥癬診療ガイドライン 第3版追補(2018)
Ⅰ.疥癬
治療のポイント
・顕微鏡検査でヒゼンダニを検出して診断を確定し,駆除する.
◆病態と診断
A病態
・角質層に寄生するヒゼンダニの虫体や糞,脱皮殻に対するアレルギー反応により,特に夜間に激しい瘙痒を生じる.家族内,施設内感染が多い.
・普通の疥癬(通常疥癬)で寄生するヒゼンダニは数十匹以下であり,長時間の肌の直接接触,寝具を介するなどの濃密な接触で感染する.感染後,約1~2か月の無症状の潜伏期を経て皮疹などの臨床症状が現れる.
・全身衰弱者などに生じる角化型疥癬では,寄生するヒゼンダニは100万~200万匹であり感染力が非常に高く,剥がれた角質層でも感染するため隔離が必要である.潜伏期間が4~5日に短縮することもある.
・ヒゼンダニは乾燥や高温に弱く,50℃10分間で死滅する.
B診断
・通常疥癬の皮疹には,①手関節屈側,手掌や指間に好発する,雌成虫が産卵しながら角質層内を掘り進み,わずかに隆起した数mm長の疥癬トンネル(ヒゼンダニを検出しやすい),②体幹や四肢に生じる紅色小丘疹(これらの皮疹はアレルギー反応として生じ,虫体・虫卵が検出されることはまれ).③男性の外陰部を中心に腋窩,殿部に生じる小結節,がみられる.その他,小水疱や膿疱,痂皮などを生じる.
・角化型疥癬では厚い角質増殖が手足,肘頭,膝蓋部など全身に生じる.爪にも角質増殖を伴うことがある(爪疥癬).
・疥癬トンネル以外に特異的皮疹はなく,瘙痒がない場合もある.流行状況を勘案しながら瘙痒を訴える高齢者では本症を念頭におく必要がある.
・顕微鏡検査:疥癬トンネルや新鮮な皮疹から鑷子などで角質層を採取する.スライドグラス上で10%KOH水溶液を滴下してカバーガラスで覆い,虫体や卵を観察する.角化型疥癬では検出は容易である.
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