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治療のポイント
・ステロイド外用薬の副作用であり,ステロイド外用薬を中止する.
・ステロイド外用薬の中止によりリバウンドが生じるが,ミノサイクリンなどを使用しながら治療する.
◆病態と診断
A病態
・顔面へのステロイド外用薬の長期連用による副作用が酒皶様皮膚炎の本態である.顔面にびまん性の潮紅,落屑,小丘疹,膿疱を生じる.皮膚病理組織学的に,毛包炎,毛包周囲炎がみられる.
・長期化した場合,毛細血管拡張が顕著となる.さらに,症状が続くと,組織学的に肉芽腫を生じ,難治となる.
・酒皶様皮膚炎が口囲に生じた場合,口囲皮膚炎と呼ぶ.
B診断
・ステロイド外用薬の長期使用歴があるか病歴を聴取することが診断上重要である.
・診察の際は,顔面における潮紅,落屑,丘疹,膿疱の分布を観察する.
・皮疹は,前額や頬,鼻唇溝,口囲に生じやすい.毛細血管が拡張していることもある.
・外用薬によるアレルギー性接触皮膚炎との鑑別も考えられるが,酒皶様皮膚炎の場合,皮膚病理組織学的に毛包や毛包周囲炎,肉芽腫など真皮内の炎症が主体である.さらに,酒皶様皮膚炎では,接触皮膚炎でみられる漿液性丘疹など表皮の病変がみられないことから,臨床的に両者の鑑別は可能である.
◆治療方針
ステロイド外用薬を中止することが基本である.ミノサイクリン系の抗菌薬の内服を行う.かゆみが強いため,抗ヒスタミン薬の併用も考慮する.ステロイド外用薬の中止はリバウンドを引き起こすため,薬効の弱いステロイド外用薬を使用せざるを得ない場合もある.
Px処方例 下記を適宜用いる.
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