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GL産婦人科 診療ガイドライン 婦人科外来編2020
治療のポイント
・月経異常は,月経開始,周期,経血量,随伴症状などに分類される.
・月経開始時期の異常では,器質的原因によるものが多い.卵巣機能不全に対してホルモン補充療法を行う.
・月経周期の異常では,体重減少性が最も多く,体重の回復を優先する.
◆病態と診断
A病態
・月経異常は,月経開始,周期,経血量,随伴症状などに分類される.
・思春期の月経異常の半数が無月経である.
・月経開始時期の異常:初経は通常12歳頃に発来するが,15歳以上18歳未満で発来のないものを初経遅延,満18歳でもないものを原発性無月経という.原因は,性分化疾患や内分泌・代謝異常などによるものが多い.
・月経周期の異常:これまであった月経が3か月以上停止したものを続発性無月経という.原因の多くが体重減少性無月経で,摂食障害やアスリート関連のものが含まれる.
・随伴症状:月経期間中に起こる月経困難症と,月経前に発症する月経前症候群が多い(→,「月経困難症と慢性骨盤痛」の項および→,「月経前症候群」の項を参照).
B診断
・身体所見:Tanner分類により乳房および陰毛の成熟度を判定する.
・内分泌学的検査:視床下部-下垂体-卵巣系および甲状腺ホルモンを測定する.
・画像診断:腹部超音波,骨盤部MRIが有用である.
◆治療方針
A無月経
1.初経遅延,原発性無月経
第2次性徴を認めない場合には,エストロゲン製剤(E)を少量から段階的に増量したあとに,Eとプロゲスチン(P)を併用して月経を誘導する(EPT:estrogen progestin therapy).中枢性無月経の場合は,周期的に3~6か月EPTを施行後に休薬して自然月経の開始を試みる.解剖学的異常の是正が必要な場合には,病態に応じて手術を行う.
Px処方例 まず1)を用い,次に2),3)を併用する.
1)エストラジ