今日の診療
治療指針
産婦人科

無月経と排卵障害
amenorrhea and disorders of ovulation
木村文則
(奈良県立医科大学教授・産婦人科学)

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治療のポイント

・挙児希望の有無により治療方針を分ける.

・病態を理解し,それに則した治療を行う.

◆病態と診断

A病態

・無月経は,満18歳を迎えても初経の起こらない原発性無月経と月経周期の確立後に3か月以上月経がない続発性無月経に分類される.本項目では,排卵障害に関わりの深い後者と排卵障害について記述する.

・WHOは無月経の原因を3つのグループに分類している.

1)WHO group 1:エストロゲン産生を認めず,卵胞刺激ホルモン(FSH:follicle-stimulating hormone),黄体形成ホルモン(LH:luteinizing hormone)の低下,プロラクチン(PRL)は正常である視床下部・下垂体機能不全

2)WHO group 2:エストロゲンの産生を認め,FSHおよびPRLは正常である視床下部・下垂体機能低下

3)WHO group 3:FSHの上昇,すなわち性腺不全

B診断

・下記の手順で診断を行う.

1)問診で生理的無月経である妊娠を否定する.

2)診察で子宮,卵巣,性器を評価し,乳房の発達,乳汁分泌の有無,陰毛の状態などの評価を行う.

3)画像診断として主に超音波検査を行い,子宮および卵巣の状態を評価する.

4)ホルモン基礎値であるエストラジオール(E2),FSH,LHを測定する.PRLや甲状腺機能についても評価する.そのほかプロゲスチン負荷試験や黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH-RH:luteinizing hormone-releasing hormone)負荷試験を行う.

◆治療方針

 原則,挙児希望の有無で治療方法を選択する.また,WHO分類別に治療方法が異なる.

A挙児希望がない場合

1.ホルムストルム療法

 子宮内膜の発育に必要な量のエストロゲンが分泌されて無月経となっている第1度無月経,およびWHO group 2に相当する排卵障害の場合に用いる

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