GL性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン第4版改(2018)
ニュートピックス
・米国精神医学会のDSM-5では「Gender Dysphoria(性別違和)」と改称されている.2022年発効のICD-11では「Gender Incongruence(性別不合)」に改称され(訳語は未確定).
・ICD-11では性分化疾患であっても診断可能になった.
治療のポイント
・診断・治療は,精神科医,産婦人科医,泌尿器科医,形成外科医などが連携して行う.身体的治療の適応判定は外部委員も含む医療チームで行う.
・うつや不安,希死念慮は高率であり,精神的治療・支援,不登校やいじめへの対応が必要である.
・性自認を身体の性に合わせる治療は無効で,無理に行うとうつや自殺につながる.
・ホルモン剤の使用は大量,長期にわたる場合も多く,禁煙,体重・血圧管理などが重要である.
・法律により戸籍の性別変更が可能である.
◆病態と診断
A病態
・出生時に割り当てられた性(通常,身体の性から指定)と自身の実感する性(自覚する性,性の自己認識;性自認)とが一致せず,自分の身体やその性別で生きることに嫌悪感をもち,ほかの性別で生きたいと望む.
・トランス女性(MTF:male to female,割り当てられた性は男性,実感する性は女性)とトランス男性(FTM:female to male,割り当てられた性は女性,実感する性は男性)とに分類される.
B診断
・ICD-11では「精神疾患」ではなく,「性の健康に関連する状態(訳語は未確定)(conditions related to sexual health)」に分類された.
・性別に関する気持ちや成育歴などから実感する性(性自認)を決定する.揺らいでいる場合は,長期に経過を観察する.
・原則として,外性器・内性器の検索(超音波検査,MRIなど),染色体検査(Gバンド分染法など),ホ
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