今日の診療
治療指針
産婦人科

避妊法
contraception
樋口 毅
(弘前大学大学院保健学研究科教授・看護学領域)

GLOC・LEPガイドライン2020年度版

治療のポイント

・適切な服薬方法に従わない場合,避妊効果が低下することを説明する.

・必ず慎重投与,禁忌症例を確認する.

・副作用を高めるリスクの評価が必須である.

・緊急避妊薬では,1回使用あたりの妊娠阻止率は84%である.

・ライフステージに合った避妊法の選択を心掛ける.

◆病態と診断

・経口避妊薬において理想的な使用での1年間の妊娠率は0.3%,一般的な使用(飲み忘れなども含めている)では9%(米国の報告)となり,避妊効果は大きく変わるが,本邦での5,000人,および5万周期を超える臨床試験の結果では妊娠率0.29%と避妊効果はきわめて高い.

・本邦で使用可能な経口避妊薬はエストロゲンとプロゲスチンの合剤で,中枢からのホルモン分泌の抑制を介した排卵抑制,子宮内膜の着床に適さない変化(非定型的分泌期像),および子宮頸管への精子の侵入抑制などの作用で避妊効果を発揮する.

・経口投与ではエチニルエストラジオール50μg/日未満を含有する低用量経口避妊薬の処方が一般的である.

・急性,かつ致死的副作用に動静脈の血栓症がある.喫煙,肥満,高年齢,高血圧,前兆を伴う片頭痛などの存在,血栓性素因の家族歴はリスクを上げるため慎重投与や投与禁忌に該当する.

・子宮内避妊用具/子宮内避妊システム(IUD/IUS:intrauterine device/intrauterine system)は子宮内膜への着床を抑制することにより避妊効果を発揮し,全身への影響はないか,非常に少ない.IUDは,その形状で受精卵の子宮内膜への着床を物理的に阻害する.さらに銅イオンの受精卵への障害で避妊効果を有するものもある.IUSは20μg/日の高濃度プロゲスチンが5年間持続的に溶出することで子宮内膜を非定型的分泌期像に変え,着床を阻害する.IUS,IUDともホルモン分泌には影響を及ぼさな

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