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GL性感染症 診断・治療ガイドライン2020
Ⅰ.性器クラミジア感染症
治療のポイント
・子宮頸管炎の90%は,自覚症状のない無症候感染である.
・卵管炎を放置すると卵管不妊や卵管妊娠の原因となるため,早期治療が重要である.
・母子感染を引き起こすため,妊婦健診においてスクリーニングが実施される.
・妊娠出産を控えた20~30歳が罹患者の大部分を占める.
◆病態と診断
A病態
・性交渉により,クラミジア・トラコマティス(クラミジア)が子宮頸部の円柱上皮に感染し,子宮頸管炎を発症する.
・子宮頸管炎を無治療のまま放置すると,上行感染して子宮内膜炎,卵管炎,さらに腹腔内に波及すると子宮付属器炎,骨盤内炎症性疾患(PID:pelvic inflammatory disease),肝周囲炎を引き起こす.
・自覚症状としては帯下の増量や下腹部痛を認めるが,多くは無症状である.
・卵管炎が持続すると卵管周囲癒着や卵管閉塞を引き起こす.さらに,肝周囲炎は,肝臓周囲に癒着を形成し,右上腹部痛を発現しFitz-Hugh-Curtis症候群(FHCS)と称される.
・産道感染により新生児肺炎や結膜炎を引き起こす.
B診断
・子宮頸管スワブ検体を採取し,核酸増幅法によりクラミジアを検出し診断する.
・抗体検査は既往感染で陽性になるため,現行感染の診断には適さない.
◆治療方針
子宮頸管炎であればマクロライド,ニューキノロン系経口抗菌薬によりほぼ確実に治療できる.妊婦には,マクロライド系経口抗菌薬を用いる.
腹痛を伴う重症例では,入院管理としてミノサイクリン,アジスロマイシン,レボフロキサシンの点滴を行う.また,ほかの外科疾患との鑑別を行う.
A子宮頸管炎,PID・FHCSの軽症例
Px処方例 下記のいずれかを用いる.
1)アジスロマイシン(ジスロマック薬)錠(250mg) 1回4錠 1日1回 単回
2)クラリスロマイシン(
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