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治療指針
産婦人科

子宮筋腫,子宮腺筋症
uterine leiomyoma and adenomyosis
北出真理
(順天堂大学大学院教授・産婦人科学)

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GL産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2020

治療のポイント

・子宮筋腫や子宮腺筋症などはエストロゲン作用により増大するホルモン依存性疾患であるが,好発年齢が妊娠・出産年齢でもあり,妊娠希望の有無により治療方針が異なることに留意する.

・妊娠の希望がなければ子宮全摘術を行う場合も多いが,子宮温存手術では再発や周産期合併症のリスクもあり,施行時期は慎重に決定すべきである(子宮腺筋症核出術は保険適用なし).

・症状の緩和にはホルモン製剤が有用であるが,手術療法が不要な症例や手術待機期間に行う場合が多い.

・変性した子宮筋腫の場合は子宮肉腫との鑑別が重要であり,治療前や急な増大を認めた場合にはMRIなどでの精査を要する.

◆病態と診断

A子宮筋腫

・子宮筋腫は子宮平滑筋に発症する良性のエストロゲン依存性疾患であり,性成熟期女性の約20~30%に認める.主な症状としては,過多月経貧血圧迫症状(頻尿,腰痛,下腹部膨満感),下腹痛,不妊などがある.

・診断は,内診,超音波検査,CT,MRIなどで行うが,子宮筋腫の大きさや位置関係を正確に把握するにはMRIが最も有用である.T1,T2強調画像で,低信号の境界明瞭な腫瘤を呈する.変性を伴う場合は,T2強調画像で高信号を呈する場合が多い.急に増大する場合などは子宮肉腫との鑑別が重要であり,単純MRIで診断が難しい場合は造影MRI検査やPET-CTを追加することもある(ただし疑い病名の場合,PET-CTは自費診療となる).

・子宮内腔の変形を呈する子宮筋腫は,着床不全(不妊症)や流産のリスクがあり,妊娠希望があれば子宮温存手術の適応となる.

B子宮腺筋症

・子宮腺筋症は子宮筋層内に異所性子宮内膜組織を認めるエストロゲン依存性疾患であり,子宮筋腫や子宮内膜症と併存する場合が多い.

・びまん性に発育するdiffuse typeと局所性に発育するfoc

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