GL外陰がん・腟がん治療ガイドライン2015年版
Ⅰ.腟癌
頻度 あまりみない
治療のポイント
・治療の原則は放射線療法である.
・病巣の局在と範囲に応じて手術療法も選択できる.
◆病態と診断
A病態
・腟癌はきわめてまれな疾患で,女性性器癌の約1%に発生し,わが国では10万人あたりの1年間の発生頻度は外陰癌と合わせても0.7人程度とされる.高齢者に多く,約9割が扁平上皮癌である.
・腟の扁平上皮癌の約8割からヒトパピローマウイルス(HPV:human papillomavirus)が検出され,子宮頸癌と同様にHPVによる発癌経路が示唆される.腟癌の前癌病変とされるのは腟上皮内腫瘍(VAIN:vaginal intraepithelial neoplasia)であり,異型細胞が重層扁平上皮内で増殖するが,間質への浸潤は示さない病変である.
・従来は異型の程度によりVAIN1,2,3の3段階に分類されていたが,2014年のWHO分類(第4版)からlow grade squamous intraepithelial lesion(LSIL)とhigh grade intraepithelial lesion(HSIL)の2段階に分類されるようになり,VAIN1はLSILに,VAIN2,3はHSILに相当する.
B診断
・肉眼的またはcolposcopyで認識できる病変の生検による組織診で診断を確定する.
・そのほか,MRI,CT,PET/CTなどの画像診断で進行の程度などを評価する.
◆治療方針
A腟癌
1.臨床進行期Ⅰ(病変が腟壁のみ),Ⅱ期(腟を越えるが骨盤壁に達しないもの)
腟癌の治療の原則は放射線療法であるが,手術療法が考慮されるケースとして,浸潤の浅いものでは腟壁部分切除を選択しうる.腟上部1/3に発生したものでは,子宮頸癌と同様の考え方で広汎子宮全摘術も選択でき,骨盤リンパ節郭清に加え,腟は切除マ