今日の診療
治療指針
産婦人科

子宮頸癌
cervical cancer
滝 真奈
(京都大学・婦人科学産科学)

GL子宮頸癌治療ガイドライン2017年版

ニュートピックス

・2021年1月1日より子宮頸癌進行期分類(日産婦2020,FIGO 2018)に改定された.これに伴い,術後に進行期を判断することとなった.

治療のポイント

・子宮頸癌治療の主体は手術療法もしくは放射線治療となる.

・再発癌は,根治可能であれば手術療法や放射線治療での根治を目指す.

・早期癌の一部には妊孕性温存(子宮温存)が考慮される.

◆病態と診断

A病態

・発症原因の90%以上がヒトパピローマウイルス(HPV:human papillomavirus)の持続感染と考えられている.

・HPVには約200種類以上あり,そのうち子宮頸癌になりやすいハイリスクHPVは約14種類(16,18型が最多)存在する.

・正常上皮から子宮頸部上皮内腫瘍(CIN:cervical intraepithelial neoplasm)の段階となり,数年単位で子宮頸癌へと移行する.

B診断

コルポスコピー下狙い生検にて腫瘍の組織型を確定する.

・狙い生検にて子宮頸癌の確定診断に至らない場合は,子宮頸部円錐切除術にて確定診断を行う.

・進行期の決定のため,腟鏡診,内診,直腸診および画像診断(MRI,CTなど)を行う.膀胱粘膜および直腸粘膜への浸潤が疑われる場合は,適宜膀胱鏡および直腸鏡にて評価を行う.尿管への進展を疑う場合は,排泄性尿路造影検査を行う.

◆治療方針

 組織型および進行期に応じて治療方針を決定する.早期癌の場合,希望があれば妊孕性温存を考慮する.

 早期癌に対し低侵襲手術(MIS:minimally invasive surgery,腹腔鏡下手術およびロボット支援下手術を指す)が2018年4月より保険適用となった.開腹手術と比較し再発率や死亡率が増加するとの成績(LACC試験)が出たことをふまえ,現在日本産科婦人科学会への登録施設かつ患者に十分説明したうえ

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