頻度 あまりみない〔年間約1,300例(2019年)〕
治療のポイント
・子宮内膜異型増殖症では癌の合併や癌への進展リスクが高いことに留意する.
・妊孕性温存希望の子宮内膜異型増殖症に対しては高用量黄体ホルモン療法を検討する.妊孕性温存希望のない場合は単純子宮全摘術を行う.
◆病態と診断
A病態
・大小さまざまな内膜腺組織の増殖をきたす疾患で,エストロゲンの過剰刺激によって発生する.
・細胞異型の有無によって異型のない子宮内膜増殖症,子宮内膜異型増殖症に分類される.後者は類内膜癌の前癌病変ととらえられている.
B診断
・不正出血を主訴に受診し,経腟超音波検査にて子宮内膜の肥厚を認める.子宮内膜組織診によって診断を確定する.
・子宮内膜異型増殖症では癌の合併の可能性を考慮し,内膜全面掻爬術を行う.
◆治療方針
子宮内膜増殖症では無治療経過観察やホルモン剤による治療を検討する.子宮内膜異型増殖症では,妊孕性温存希望のない場合には単純子宮全摘術を勧める.妊孕性温存を希望する場合には,癌の合併が否定され,本人および家族が治療に伴う再発リスク,薬の副作用(血栓症など)について十分理解している場合に適応とする.
A子宮内膜増殖症
1.経過観察
3~6か月ごとに経腟超音波検査にて内膜厚を評価し,必要に応じて内膜細胞診,組織診を実施する.
2.黄体ホルモン療法
Px処方例
メドロキシプロゲステロン(プロベラ薬)錠(2.5mg) 1回2錠 1日2~3回 14日間後,14日間休薬を1周期として3~4周期投与
3.手術療法
適宜,子宮内膜全面掻爬術による評価を行う.
B子宮内膜異型増殖症
1.挙児希望のある女性
妊孕性温存療法を検討する.
a.高用量黄体ホルモン療法
Px処方例 1)を用いる.血栓リスクが高い場合,2)を併用する.
1)メドロキシプロゲステロン(ヒスロンH薬)錠(200mg) 1回1錠 1日2~3回 毎食後
2)アスピリン