頻度 あまりみない
治療のポイント
・子宮癌肉腫の治療は高悪性度子宮体癌に準じ,平滑筋肉腫や子宮内膜間質肉腫では子宮全摘術と両側付属器摘出術が推奨される.
◆病態と診断
A病態
・子宮肉腫はまれな疾患で,予後不良である.
・子宮癌肉腫はリンパ行性転移,平滑筋肉腫は血行性転移が多い.
B診断
・子宮筋腫と鑑別が困難で,術後病理により初めて診断されることも多い.
◆治療方針
A子宮癌肉腫
高悪性度子宮体癌に準じた手術や化学療法を行う.化学療法ではプラチナ製剤,タキサン製剤,イホスファミドを用いる.
B平滑筋肉腫
子宮全摘術と両側付属器摘出術が基本となる.Ⅰ期で経過観察,Ⅱ期以上で化学療法を行う.化学療法ではドキソルビシンを用いる.
Px処方例
ドキソルビシン(アドリアシン薬)注 1回60mg/m2 1日1回 静注(総投与量上限500mg/m2) 3週ごと 6サイクル
C子宮内膜間質肉腫
子宮全摘術と両側付属器摘出術が基本となる.低異型度子宮内膜間質肉腫のⅠ期では経過観察を推奨する.
D再発例
確立した治療はない.平滑筋肉腫では近年いくつかの分子標的薬が承認された.
Px処方例 下記のいずれかを用いる.
1)エリブリン(ハラヴェン薬)注 1回1.4mg/m2 静注 第1・8日 2週投与1週休薬を繰り返す
2)パゾパニブ(ヴォトリエント薬)錠(200mg) 1回4錠 1日1回
3)トラベクテジン(ヨンデリス薬)注 1回1.2mg/m2 24時間点滴静注 第1日 最低20日休薬を繰り返す
エビデンス
●平滑筋肉腫に対するGD療法 ドキソルビシン単剤を上回る臨床第Ⅲ相試験はない.GD療法は臨床第Ⅱ相試験により無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)の有意な改善が報告され,国内外ともにGD療法がfirst lineとsecond lineのいずれにおいても標準的化学療法と理解されている(グレードC1).
・日本婦人科腫瘍