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治療のポイント
・稽留流産,進行流産(不全流産含む)に対しては,待機的管理もしくは子宮内容除去術を選択するが,中等量以上の出血が持続する場合や子宮内感染を起こした場合には子宮内容除去術を行う.
・不育症との関連が深いとされる子宮形態異常,APS,染色体均衡型転座の有無を検索するとともに,問診から得られた臨床情報に基づき必要な検査を追加する.
・不育症の治療法としてAPSに対する低用量アスピリン・ヘパリン併用療法以外に確立されたものはほとんどなく,APS以外のリスク因子を有する患者に対しては十分なカウンセリングとインフォームド・コンセントを行ったうえで適切な治療法を選択する.
・原因不明の不育症患者には無治療で経過観察するが,無治療でも70%以上の妊娠成功率が得られる.患者の訴えや不安に対して受容的に対応するtender loving careを実践する.
Ⅰ.流産
◆病態と診断
A病態
・流産とは妊娠22週未満で妊娠が終了することをいう.妊娠12週未満の流産を初期流産,12週以降の流産を後期流産という.
・臨床的に確認された妊娠の15%が流産となり,その原因の大半は染色体異常などの胎児因子である.
・胎児(胎芽)が子宮内で生存していないことが明らかだが,性器出血や腹痛などの症状を認めない状態を稽留流産といい,胎児(胎芽)とその付属物が子宮外に排出されてきている状態を進行流産という.進行流産は,子宮内容物が完全に排出された完全流産と一部が子宮内に残存する不全流産に分かれる.
B診断
・尿中hCG定性検査により妊娠を確認後に経腟超音波検査で子宮内の胎嚢を確認する.通常,妊娠5週で胎嚢が,妊娠7週で胎児心拍動が確認される.
・最終月経,基礎体温測定,胚移植日などから計算される妊娠週数より胎嚢,胎児(胎芽),胎児心拍動の確認が遅れている場合,1~2週間以内の間隔をあけて複数回の経腟超音波検査を
関連リンク
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