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ニュートピックス
・厚生労働省は,高年妊娠の女性に対し,出生前診断への情報提供を適切に行うべきという見解を示した(2021年).なお,2022年度より年齢にかかわらず対応が求められるようになった.
治療のポイント
・周産期合併症リスクが高いことを念頭におき,早期発見に努める.
・産科危機的出血の管理に対応できるよう体制を整備する.
◆病態と診断
・国内外の共通した明確な定義はないが,35歳以上を指すことが多い.
・日本を含め先進国では妊娠の高齢化が進んでおり,日本の最近10年間の高年妊娠は全体の約3割を占める.
・高年妊娠で周産期合併症が多くなる要因として,妊孕性低下による生殖補助医療が必要となること,それに伴う多胎妊娠の増加,高血圧・糖尿病などの慢性疾患の加齢に伴う増加などが指摘されている.
・超高齢出産は45~50歳以上を指し,さらに合併症リスクが高い.
◆治療方針
Aプレコンセプション
1)定期的な健康診査や健康的な生活習慣の推奨.
2)葉酸サプリメント摂取の推奨.
3)慢性疾患合併例では,妊娠中も継続可能な薬剤の調整および疾患の安定化をはかる.
B妊娠初期
流産,異所性妊娠リスクが高いことを念頭におく.出生前診断に誘導することなく情報提供し,必要に応じて,遺伝カウンセリングを実施する.
C妊娠中後期
胎児発育不全,妊娠高血圧症候群,妊娠糖尿病,早産のリスクが高く,異常所見に注意し,早期発見に努める.また,前置胎盤リスクも高く,妊娠30週頃までに診断する.
D分娩期
帝王切開率および死産リスクが高い.原則的には,産科的適応に応じて分娩方法は選択する.また,分娩時(後)異常出血リスクが高い.緊急対応となるので,日頃より輸血製剤や止血用物品などの確認,高次施設との連携などを含め,施設内でシミュレーションを実施しておくことが望ましい.
■患者説明へのポイント
・リプロダクティブ・ヘルス/ライツの一