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ニュートピックス
・子宮収縮抑制薬の長期使用によって,新生児高K血症や新生児低血糖症のリスクが高くなる.
治療のポイント
・子宮内感染の有無によって方針が異なる.
・子宮収縮抑制薬は,母体にステロイドを使用するための48時間以内の短期点滴静注で有効性が示されている.
・運動後などに起こる生理的子宮収縮を切迫早産の症状と誤認しない.
◆病態と診断
・妊娠22~36週までの出産を早産,妊娠22週未満を流産(妊娠12週以降を後期流産)という.
・妊娠中に規則的な子宮収縮が認められ,かつ子宮頸管の開大度・展退度に進行が認められる場合,あるいは初回の診察で子宮頸管の開大が2cm以上である場合を早産の危険が高い(切迫早産)と診断する.
・妊娠12週以降の流早産の多くは子宮内感染あるいは無菌性炎症が原因である.
◆治療方針
A切迫流早産に対する薬物治療
妊娠12週未満の流産に対する確立された治療法はない.妊娠22週以降,胎児の状態に問題がなく子宮内感染が否定できれば,原則としてステロイドの効果発現が期待できる48時間後まで子宮収縮抑制薬を使用する.
1.子宮収縮抑制薬
Px処方例 下記のいずれかを用いる,または併用する.
1)リトドリン(ウテメリン薬)注 50μg/分より持続点滴静注(最大200μg/分まで増量可)
2)硫酸マグネシウム・ブドウ糖(マグセント薬)注 4gを20分以上かけて静注したのち,1g/時で持続点滴静注(最大2g/時まで増量可)
2.ステロイド
Px処方例
ベタメタゾン(リンデロン薬)注(0.4%) 1回12mg 24時間ごとに2回 筋注
B早産ハイリスク妊娠への予防的介入
前回が後期流産あるいは妊娠34週未満の早産であった場合,その原因として子宮内感染や子宮頸管炎が否定できれば,子宮頸管縫縮術の適応となる(子宮頸管無力症)かを検討する.
円錐切除後や子宮頸管ポリープがある症例は,子宮頸管