頻度 あまりみない
ニュートピックス
・2021年,産科危機的出血に伴う後天性低フィブリノゲン血症に対するフィブリノゲン製剤の使用に保険が適用された.ただし使用施設は,総合/地域周産期母子医療センター,大学病院に限定されている.
治療のポイント
・血中フィブリノゲン値モニタリングと,すみやかかつ十分なフィブリノゲンの補充が重要である.
・保存的治療から子宮摘出へ変更するタイミングを適切に判断する.ただし,十分な補充療法が不可欠である.
◆病態と診断
・羊水塞栓症は1/2万~3万分娩とまれだが,母体死亡直接原因の主たる疾患であり,急激かつ急速な心肺停止や大量性器出血を引き起こし,著明なフィブリノゲン値低下を特徴としたDICを示す.
・主たる症状により心肺虚脱型と子宮型に分類される.
・病態は胎児成分(羊水)の母体内流入によるアナフィラクトイド反応と考えられている.
◆治療方針
A迅速な初期対応
OMI(酸素投与,モニタリング,静脈確保)とマンパワー招集をすみやかに行う.また心肺虚脱型では心肺蘇生を並行して行う.
1.抗アレルギー治療
Px処方例
アドレナリン薬注 1回0.2~0.5mg 大腿筋外側に筋注
人C1-インアクチベーターが有効という研究報告もある.
2.輸血療法
ルート確保後,すみやかにMTP(massive transfusion protocols)に準じて赤血球液:新鮮凍結血漿:血小板製剤=1:1:1の割合で輸血を行う.
3.大動脈バルーン挿入
バイタルが保持できない場合は大動脈バルーン(IABP:intra-aortic balloon pumping)挿入を行う.
B抗DIC治療
Px処方例 下記を併用するが優先順位は1),2),3)の順となる.
1)乾燥人フィブリノゲン(フィブリノゲンHT薬)注 1回3~6g 点滴静注 単回 3gで100mg/dL上昇を期待し,150mg/dL以上を目標と
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