GL新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症に対するビタミンK製剤投与の改訂ガイドライン(修正版)(2011)
ニュートピックス
・2021年11月に日本小児科学会はじめ関連学会により,「新生児と乳児のビタミンK欠乏性出血症発症予防に関する提言」が出された.そのうち,ビタミンK2 の投与に関しては,すべての新生児に哺乳確立時,生後1週または産科退院時のいずれか早い時期,その後は生後3か月まで週1回投与すること,としている.ビタミンK欠乏による乳幼児の頭蓋内出血は予後不良のため,発症予防のため3か月法が推奨された.
◆病態と診断
・ビタミンKは,肝臓で合成される脂溶性ビタミンであり,凝固因子であるプロトロンビン,第Ⅱ,第Ⅶ,第Ⅸ,第Ⅹ因子や抗凝固プロテインC,プロテインS,プロテインZの合成に必要な補因子として作用している.胎盤通過性が低いこと,母乳中の含有量が低いこと,腸内細菌叢が未熟であること,消化管吸収能が低いことなどから,新生児や乳児ではビタミンKが欠乏しやすい.さらに肝炎や胆道閉鎖症など胆汁分泌を低下させる疾患や,吸収障害をきたす病態が加わると欠乏のリスクが高まる.
・症状として,生後早期には,吐血,消化管出血などがみられる.生後3週~2か月にみられるのは,主に頭蓋内出血である.
・新生児や乳児で出血を認め,PT,APTTの延長を伴う場合は,ビタミンK欠乏性出血を疑う.ビタミンK欠乏は,protein induced by vitamin K absence or antagonist(PIVKA)-Ⅱの上昇で診断される.
◆治療方針
A合併症のない正期産新生児への予防投与
ビタミンK2 を投与する.投与法は従来,3回法(哺乳確立時,生後1週間または産科退院時,1か月健診時)と3か月法(哺乳確立時,生後1週または産科退院時のいずれか早い時期,その後は生後3か月まで週1回を投与)が混在して