GL根拠と総意に基づく未熟児動脈管開存症治療ガイドライン(2010)
ニュートピックス
・2022年より「根拠と総意に基づく未熟児動脈管開存症治療ガイドライン」(2010)の改訂作業が開始となった.
治療のポイント
・生後早期は拡張能低下に伴ううっ血性心不全,以後は高拍出性心不全の合併を起こさないように,動脈管開存症の治療を行う.
◆病態と診断
A病態
・胎生期の動脈管は,プロスタグランジンEの働きにより内膜を肥厚させることで生後すみやかに閉鎖に向かう準備を整えている.
・早産児において生理的な動脈管の自然閉鎖が遅延した状態を未熟児動脈管開存症(PDA)とよぶ.有症状で循環動態に変化をきたし何らかの対応が必要なPDAを症候性PDAとよぶ.
・本邦の周産期母子医療センターネットワークデータ(2003~2017年)によると,症候性PDAは在胎24週で約57%,在胎28週で約38%に認める.
B診断
・症状として心雑音,心尖拍動,頻脈,脈圧増大のほかに,肺血流増加に伴う多呼吸,陥没呼吸,臓器血流低下に伴う尿量減少,腸管蠕動抑制が認められる.
・急性期は動脈管の左右短絡量の増加によりうっ血をきたし,肺出血,脳室内出血の原因となる.エコーによる内大脳静脈の揺らぎがその前兆をとらえるのに有効である.
・パルスドプラ法により拡張期左肺動脈血流速度を計測し,PDAの左右短絡量を推定する.
・エコーにて左房・大動脈径比や左室拡張末期径の増大,前大脳動脈・腎動脈の拡張期血流の途絶もしくは逆流,血漿ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド値の上昇を認めた場合は,症候性PDAとして治療介入を検討する.
◆治療方針
A全身管理
過剰な酸素使用・容量負荷は,未熟児PDA発症のリスクを高めることに留意しながら全身管理を行う.
B予防
未熟児動脈管開存症診療ガイドライン作成プロジェクトチーム(J-PreP)は,各施設の動脈管閉鎖術の施行能力,在胎週